なぜ一人暮らしで移住をしたいのか
移住とは、読んで字の如く「別の場所に移り住むこと」です。言葉の意味としては、引越しや転居とほぼ同じですが、日本人の多くは「移住=地方移住」というイメージが強いのではないでしょうか。
また、移住の目的としては、「子育てのため」「老後を静かに過ごすため」など、ファミリー層や高齢者と想像されるものが一般的でした。
しかし近年では、20代〜30代の若い一人暮らしの人々が地方移住を検討しています。働き盛りで遊びも充実をさせたいはずの時期に、なぜ移住をしたいのでしょうか。
自然豊かな環境で暮らしたい
都会の喧騒から離れて静かな土地で暮らしたいというニーズは、若者の間でも少なくありません。このような生活は、老後に夢見る人が多い印象でしたが、20代30代のうちから実現することもできるでしょう。
リモートワークが可能な仕事のスキルを持っている人も増えていることも、この背景として考えられます。また、若い世代であれば、移住を機に未経験の仕事に飛び込むことも良いかもしれません。
生活コストを抑えたい
都会での生活は、地方に比べて家賃などの生活コストが高い傾向にあります。交際費や洋服代なども、都会で生活をする方が高くつく印象もあるでしょう。
収入を増やすことはもちろんですが、結局手元に残るお金が大切だと考えると、生活コストを抑えられる地方への移住は有効です。地方での仕事は、年収だけで考えず、支出と合わせて考えると好条件かもしれません。
自分らしい生き方や働き方を実現したい
一般的に、高校や大学を卒業して、社会人となることが多いですが、自分らしい生き方や働き方を実現できているという人は、あまり多くないかもしれません。
給与や休日数など、より好条件な仕事や、公務員など安定した仕事に就いている人も、周囲から見れば良い働き方に見えますが、本人がどのように感じているかは人それぞれです。
また、給与や休日数も含めて、全く満足のいく生き方・働き方ができていない人もいるでしょう。理由は人それぞれあると思いますが、本当に自分が求めている生き方をするために、思い切って移住を計画する人は一定数存在します。
一人暮らしの移住で目的を達成できるのか?
自然豊かな環境で暮らすための障壁
自然豊かな地域では、就職先や収入源が限られている可能性があります。その分、生活コストも抑えられる可能性が高いですが、収入源の確保は必須と言えるでしょう。
元々の仕事を現地で続けられる人など、自身で収入源を持っている人の方が有利と言えるかもしれません。
また、都会から離れるほど、娯楽や買い物などの立弁性は下がります。自然豊かな環境を望んで移住するので問題ではないかもしれませんが、実際に暮らすとなるとしっかりと考慮しておく必要があるでしょう。
生活コストを抑えて生活するための障壁
地方移住をすることで生活コストを抑えても、収入が大幅に下がってしまうと手元に残るお金は減る可能性もあります。
特に、就職先も少ないようなエリアに移住をした場合、現地での仕事は収入が低い傾向にあり、生活コストを抑えることが家計に好影響を与えるとは限りません。
また、地方の物件は安く手に入れることができるものもありますが、老朽化した住宅が多くあり、改修費などで結果的に大きな出費を要する可能性もあります。
自分らしい生き方や働き方を実現するための障壁
移住先では、新しいコミュニティでの人間関係の構築が難しい場合があり、思い描いていた生き方や働き方の実現の障壁になるかもしれません。
移住したい地域の魅力は、旅行で訪れたりネット検索をすることで感じられると思いますが、人間関係は移住前には予測のしにくい部分となります。
また、都会から離れ、刺激が少ない環境では、移住前のモチベーションを維持し続けることが難しくなる可能性があることも想定しておくと良いでしょう。
一人暮らしにおすすめの移住先
移住の人気No.1:長野県 安曇野市
長野県は10年連続で移住希望地ランキング1位を獲得しています。中でも安曇野市は、北アルプスの大自然に囲まれ、きれいな水と空気に恵まれた地域。都会の喧騒から離れ、自然の中で心豊かな生活を送ることができます。
また、安曇野市は「ふるさと創生事業」を推進しており、移住者支援体制が充実。就農支援や起業支援など、自分らしい仕事を実現するためのサポートが受けられます。
生活コストが最も抑えられる場所:熊本県 人吉市
総務省の調査によると、熊本県の人吉市は、全国の市区町村の中で生活コストが最も安い地域の一つです。家賃相場が安く、食費や光熱費なども比較的低く抑えられます。
人吉市は、球磨川の清流と緑豊かな山々に囲まれた自然豊かな地域で、歴史的な町並みも残る魅力的な街です。移住者向けの空き家バンク制度や起業支援制度も整っており、移住後の生活をサポートしてくれます。
自分らしい生き方や仕事を実現できる場所:徳島県 神山町
徳島県の神山町は、サテライトオフィスやコワーキングスペースが数多く立地し、IT企業の進出も盛んです。そのため、リモートワークで都会の仕事を続けながら、自然豊かな環境で暮らすことが比較的容易な地域です。
神山町では、「ワークインレジデンス」という取り組みを推進しており、移住者が町の空き家に住みながら、仕事をするスタイルを支援しています。クリエイティブな仕事をしたい人や、自分のペースで働きたい人に最適の環境が整っています。
一人暮らしの移住で利用したい支援制度
移住をするためには、相応の資金や現地での職探しなどの事前準備が必要になります。その際に、自治体ごとに移住者に対する支援制度があり、うまく活用することでスムーズに移住を進めることができる重要なポイントです。
支援制度は、自治体ごとに違いがあり、年度ごとに変更の可能性もあるので、移住を検討している地域の最新情報を調べましょう。ここでは、一人暮らしにおすすめの支援制度を例としてご紹介します。
福岡県移住支援金
福岡県では、三大都市圏から福岡県内に移住し、県内の中小企業等に就職した場合、最大60万円の移住支援金が支給されます。一人暮らしの場合でも60万円と、単身者に手厚い支援が特徴です。さらに、関係人口と認められる場合は、三大都市圏以外からの移住でも支援金の対象となります。
群馬県移住支援金
群馬県でも同様に、東京圏から群馬県内に移住し、県内の中小企業等に就職した場合、最大60万円の移住支援金が支給されます。加えて、18歳未満の子どもがいる場合は、1人につき30万円が加算されるため、子育て世帯にもおすすめです。
滋賀県東近江市の起業支援
滋賀県東近江市では、移住者の起業を支援する「空き店舗再生支援事業補助金」があります。空き店舗を活用して起業する場合、改修費用の50%(上限300万円)を補助してもらえます。一人暮らしで店舗を構えるには心強い支援制度と言えるでしょう。
高知県の移住者向け仕事支援
高知県では、移住者の仕事探しをサポートする「高知求人ネット」というサイトを運営しています。県内の仕事情報が集約されているので、一人暮らしで移住する際の就職活動に役立ちます。また、「こうち移住・交流コンシェルジュ」という相談窓口では、移住に関する様々な質問に丁寧に対応してもらえます。
移住先に迷っている人は、稼ぎながら短期移住ができるリゾートバイトがおすすめ
移住先が確定している人は良いですが、目的や支援制度などさまざまなことを考慮すると、どこが最適な移住先なのか迷いが生じる場合もあるでしょう。
しかし、一度移住してしまうと、「やっぱりやめた」ということは簡単にはできません。そこでおすすめなのが、リゾートバイトを活用した短期移住です。
リゾートバイトとは、リゾート地に期間限定で住み込みながら働くことを指します。全国のリゾート地にあるホテルなどの宿泊施設でのお仕事がメインとなっており、1ヶ月〜3ヶ月程度の契約で働くことが一般的です。
寮費や水光熱費が無料、食費も低価格のまかないを提供している職場が多く、支出が少ないことで貯金が貯まりやすいと、20代30代を中心に人気の働き方になっています。
リゾートバイトで、移住体験をしながら、ご自身に最適な移住先を模索する時間を作ることで、後悔しない移住先を見つけることができ、十分な準備と移住経験を積んでおくことは有益なことではないでしょうか。
もし、移住先にお悩みの方は、ぜひご検討ください。
まとめ
一人暮らしでの移住のニーズが増えている背景となっている目的は何なのか、目的を達成するための障壁、目的達成のために最適な移住先などをご紹介してきました。
移住をすることが目的という人もいるかもしれませんが、多くの場合、移住はゴールではなくスタートではないでしょうか。
移住をすることでどのようなことを期待するのか、どのようなキャリアや生活を送っていきたいのか、その目的に対して適した場所に移住をすることができているのかなど、事前に確認しておきたいことは少なくないです。
費用や移住後の計画にとって重要な、地域の支援制度なども、移住先を選ぶポイントの一つになると思います。
移住は人生の中でも大きな決断の一つになると思いますので、ぜひ有意義なものにしていただければ幸いです。
一人暮らしでの移住は、自分らしい生活を実現するチャンスです。自由な暮らしを楽しむことができる一方で、孤独や家事の負担など、一人暮らしならではの課題にも向き合う必要があります。